続きが気になって、一気に一冊読み終えるのはひさびさだ。
おもしろかった。読み始めて数行で世界に引き込まれた。瀬尾まいこさんの作品はいつもそう。
そしていつも、どこか解決できずにいる私の悩み事にそっと寄り添ってくれる。中学のときは『幸福な食卓』、母親になる直前には『君が夏を走らせる』、そして今『夜明けのすべて』
印象に残った一節を引用させてもらいます。
働かないと生きていけないし、仕事がなければ毎日することもない。だから会社に勤めている。けれども、仕事のもたらすものはそれだけではない。自分のできることをほんの少しでも、何かの役に立ててみたい。自分の中にある考えを、何らかの形で表に出してみたい。そういう思いを、仕事は満たしてくれる。働くことで、漠然と目の前にある大量の時間に、少しは意味を持たせられる気がする。
仕事に悩む今、心に響いた言葉。
私は、仕事は人とは違う、自分にしかできないことをすべきだと、周囲の教えを避け、1人で悶々と悩み、頑張り続けることで、他人と差別化しようとしていた。
でも、それが目的になるのは違うのかも。
仕事は、目の前にある小さなタスクを、端から、淡々と、漏れなくこなすこと。その小さな積み重ねの中にある気づきを、次の仕事に盛り込む工夫をすること、ここに至る時に喜びが見えるのかと。
私は差別化ばかりに気を取られ、目の前にある小さな積み重ねを大切にできていない。周りから学ぶ姿勢を忘れて、大きなことばかりに目を向けていたのではないか。この話を読んでいてそう思った。
とにかくよかった。おもしろかった。今出合えてよかった、そんな本だった。これが読書の醍醐味だと思う。曲がりなりにも中学校の先生をやっている1人として、そして瀬尾まいこさんのファンとして、作品作りのモットーはもちろん、学校の先生としての、学級経営や授業からも学んでみたいものです。
はーおもしろかった!