Yukaのバンクーバーカフェ日記

超然と一歩ずつ前へ! バンクーバーのカフェで働くYukaのゆるゆる日記

#094 卒業式を終えて:手紙編

手紙っていいなあと改めて思う。

まず手書きだということ。手を使って、思いをカタチにするのは

パソコンやスマートフォンに打ち込むよりも心に残ると思う。

こうやって打つ作業も、私は好きではあるけれど、

手書きだと、その人の字から不思議と、その時の感情や思いが伝わってくる。

教師になって、毎日36名の日記を見ていてわかったことだ。

 

そしてカタチに残るということ。

私は今回数人から手紙をもらって、

ああ、これだけであと数年教師ができそうだと思った。

その時にはまた新しい手紙に出合っているかなあ。

 

まず、一人目。

2年間担任をもった子だった。毎日宿題のノートは丁寧にまとめてくるし、

アドバイスをも素直に聞く心をもっていて、行事の実行委員なども積極的に

取り組む子だった。

ただあまり感情を表に出して、私にぶつけてくるような子ではなかったので、

『先生のはじめての卒業生になれてよかった』と手紙にも文集にも書いてくれて

とてもうれしかった。

 

二人目。

明るくて笑顔が絶えなくて、友達思いの優しい女の子。

一生懸命取り組むけれど、勉強だけは苦手だった。

彼女にとってそれが大きなコンプレックスのように見えた。

ただ彼女はそれに勝る人となりを持ち合わせていて、私はそんな彼女が大好きだった。

3年生の後期、彼女は学級委員になった。

クラスの子も、私も、満場一致だった。

彼女にとって、その経験は自信になったようだ。

 

そんな彼女が卒業式の日はそっけないように思えた。

学活では大泣きするし、私の顔をじっと見つめて話を聞いてくれたけど

ちょっと手紙をもらえるのではないかと淡い期待を抱いていたからか

私は少しさみしかった。

 

卒業式を終えて、職員で3年部の教員を労う昼食会のとき、

サプライズで生徒からの手紙が読まれた。

そのうちのひとつが彼女からのものだった。

彼女からの手紙はいつも励まされる。

これでまた、数年は生きられそうだ。

 

 

三人目。

彼は家庭的につらい状況にあった。

だからよく話を聞いた。彼は自分からは話さないけれど、私の質問には丁寧に答えてくれた。

そんなやりとりが2年間続いた。月に数回、彼の表情が暗いなと感じたときに不定期で行っていた。

普段の彼は減らず口で、授業中もひねたことを言っては、クラスの笑いをとっていた。

毎日の日記も、しょうもないことばかり書いていた。そんな日記を私もそれなりに楽しんでいたのだけれど。

たぶんおうちのことは誰にも話していなかったんだと思う。家事は兄弟で協力してやっていたようだ。

そんな彼からの手紙が、そのサプライズの中に入っていた。

 

最初彼は、サプライズの手紙を断ったらしい。でも卒業式数日前に担当教師のところに来て、

『やっぱり先生への手紙書きたいので便箋ください』

と言いに来たそうなのだ。

もう、そのエピソードだけでうれしいのに

手紙を読んだら、やっぱり泣いた。

先生の授業からは、わかってほしいという思いが伝わってきた、と。

先生は僕たちが初めての卒業生になるのが誇りだと言ってくれたけど、

それは僕たちも一緒だ、と。

一人称ではなく、僕たちだったのも彼らしかったけど、

ぶっきらぼうなのに、丁寧な口調で端的に思いを伝えてくれる言葉にぐっときた。

普段あんなに適当な男なのに。

もうこれだけで、あと数年生きられる。

 

手紙っていいな。

一生の宝物になるもの。

そして書く側もきっと、その手紙で

何かけじめをつけようとしているのかもしれない。

 

本当にありがとう。ぼろぼろになるくらい読み返してしまうと思います。大切にするよ。